電気工事士としてある程度の経験値が積めたのでそろそろ独立を考えているが、事業を始めるにはどのような手続きが必要となるかわからない場合があると思います。
結論から申し上げますと、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に定められたとおりの登録・通知書を提出しなければなりません。
なんだかよく分からないとお困りの方へ向けてこちらでは、電気工事事業登録について分かりやすく説明していきます。
登録・通知が必要かどうかチェックしましょう
まずは登録・通知が必要ない6つの「軽微な電気工事」については下記のとおりですので、事業内容と照らしあわせて確認してみてください。
【1】電圧600V以下の差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼット、その他接続器または電圧600V以下のナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまた、はキャブタイヤケーブルを接続する工事
【2】電圧600V以下の電気機器(配線器具を除く。以下同じ)または電圧600Vの蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同様)をねじ止めする工事
【3】電圧600V以下の電力量計、電流制限器またはヒューズを取り付け、または取りはずす工事
【4】電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(2次電圧が36ボルト以下のものに限る)の二次側の配線工事
【5】電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、または変更する工事
【6】地中電線用の暗渠又は管を設置し、または変更する工事
この6つに該当しない場合には電気工事事業登録が必要となります。
電気工事事業登録について
電気工事事業登録には、①登録電気工事業者、②みなし登録電気工事業者、③通知電気工事業者、④みなし通知電気工事業者の4種があり、建設業法に則した建設業許可の有無と電気工事の種類(一般用電気工作物もしくは自家用電気工作物)によって登録・通知をしなければなりません。
・一般用電気工作物
→600V以下の電圧で受電、構外に電線路を持たないもの。
・自家用電気工作物
→600Vより大きい電力で受電、構外に電線路を持つもの。
それではこの4種の違いについて説明していきます。
電気工事事業登録4種それぞれの違い
【1】登録電気工事業者
建設業の認可を受けていない、一般用電気工作物のみもしくは一般用・自家用電気工作物を扱う業者は、電気工事業を始める前にこちらの登録申請の手続きが必要です。
※主任電気工事士の設置が義務付けられている
※5年おきに電気工事業の更新が必要。また、登録内容に変更があった場合には変更届の提出は必須
【2】みなし登録電気工事業者
建設業の認可を受けている、一般用電気工作物のみもしくは一般用・自家用電気工作物を扱う業者は、電気工事業を始めた際に遅れる事なくこちらの電気工事業開始届出書を提出しなければなりません。
※主任電気工事士の設置が義務づけられている
※電気工事業の更新は不要(但し登録内容に変更があった場合には変更届の提出は必須)
【3】通知電気工事業者
建設業の認可を受けていない、自家用電気工作物だけを扱う業者は、電気工事業を始める10日前までにこちらの電気工事業開始通知書を提出しなければなりません。
※電気工事業の更新は不要(但し登録内容に変更があった場合には変更届の提出は必須)
【4】みなし通知電気工事業者
建設業の認可を受けている、自家用電気工作物だけを扱う業者は、電気工事業を始めた際に遅れる事なくこちらの電気工事業開始通知書を提出しなければなりません。
※電気工事業の更新は不要(但し登録内容に変更があった場合には変更届の提出は必須)
簡単にまとめると
一般用電気工作物の電気工事も行い、建設業の許可「無」→【1】登録電気工事業者
一般用電気工作物の電気工事も行い、建設業の許可「有」→【2】みなし登録電気工事業者
自家用電気工作物のみを行い、建設業の許可「無」→【3】通知電気工事業者
自家用電気工作物のみを行い、建設業の許可「有」→【4】みなし通知電気工事業者
上記の通り登録・通知書の提出をしなければなりません。
登録・申請書の提出先について
【1】一つの都道府県のみ営業所がある
→都道府県知事
【2】二つ以上の都道府県に営業所がある
(一つの産業保安監督部区域内)→産業保安監督部長
(二つの産業保安監督部区域内)→経済産業大臣
それぞれ送り先が違う為、提出の際にはご注意ください。
このように電気工事事業登録については、様々な条件や登録・申請の手続きが必要です。
ご自身で色々調べたり、書類を集めたりするのは不安であると思いますし、独立開業を進める際は、とにかくバタバタで忙しく時間の余裕もないかと思います。
そのような際は、是非専門家である行政書士までご相談下さい。